中古住宅の売買の際に、既存住宅の基礎、外壁等の部位に生じているひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合の有無を目視、計測等により調査するものです。
建物状況調査は、国の登録を受けた既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が実施します。
建物状況調査の調査対象部位
建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分が調査対象となります。
構造耐力上主要な部分: 基礎、土台及び床組、床、柱及び梁、外壁及び軒裏、バルコニー、内壁、天井、小屋組
雨水の浸入を防止する部分: 外壁、内壁、天井、屋根
※給排水管路や給排水設備等は含まれませんが、オプションとして調査することも可能です。
マンション(鉄筋コンクリート造)の場合:コンクリートの強度や鉄筋の本数・間隔の調査を行います。
専有部分だけでなく共用部分の調査も行われます。
基礎
土台・床組・基礎
バルコニー
小屋組・梁
クラックスケールによる基礎のひび割れ幅の計測
ピアノ線によるひび割れの深さの計測
基礎配筋の調査
リバウンドハンマーを用いたコンクリートの圧縮強度の測定
水平器による柱の傾きの測定
水平器による床の傾きを測定
基礎
打診棒によるタイルの浮きの調査
建物状況調査のメリット
売主のメリット
専門家による建物状況調査を行うことで、調査時点の建物の状況を確認した上で売買取引ができるので、引渡し後のトラブルの発生を抑制することができます。
また、調査結果を販売時に開示することで、購入者に対し物件をよりアピールできます。
買主のメリット
建物状況検査の結果は購入するかどうかの判断材料になりますし、物件の状況が把握できるので安心して購入することができます。また、購入後リフォームや補修が必要かどうかの参考にもなります。
さらに、建物状況調査の結果、劣化・不具合等が無いなど一定の条件を満たす場合には、既存住宅売買瑕疵保険に加入することができます。
依頼者と費用負担
建物状況調査の依頼者は、物件を売却する売主でも、購入を検討する買主でもどちらでも構いません。
買主が依頼する場合には、事前に売主より調査の承諾を得る必要がありますので、仲介する不動産会社に調査希望の旨を伝えます。(マンションの場合、共用部分も調査の対象となるため、あらかじめ管理組合の了承も得る必要があります。)建物状況調査に要する費用は基準がなく、調査実施業者によって異なります。
また、住宅の規模、戸建かマンションかにもよりますが、5~6万円が相場です。一般的に依頼者が費用を負担します。
日本の中古住宅取引では、まだまだインスペクションが浸透しているとは言えません。買主が調査を依頼する場合には、売主の承諾が不可欠ですので、調査依頼、調査実施時期、費用負担等、売主との調整が重要になります。
メルクリウスでは、「建物状況調査」をご希望のお客様に建物調査事業者の紹介から建物調査の手配までサポートしております。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。